2027年に開業予定のリニア中央新幹線名古屋駅近くに計画された複合商業ビルである。計画地は、中村区名駅三丁目の交差点角地に位置し、地域の歴史と新しい都市の風景が交差するエリアに立地している。
このビルでは地域に根ざした賑わいの創出を目指した。敷居の高い高級レストランではなく、誰もが気軽に利用できる飲食店を中心に構成し、焼き鳥屋、居酒屋、バル、ホルモン酒場など、多様な店舗が集まる飲み屋街のような雰囲気を目指した。
外装には温かみのある木材を積極的に使用し、地域の親しみやすさを建物全体で表現した。焼杉や丸太などの間伐材を使用することで、環境への配慮と持続可能性を意識した設計となっている。木材を活かしたファサードは、大きな開口部とリズミカルなデザインを特徴とし、間接照明によって木材の質感が際立つよう工夫されている。
建物の構成としては、1階にテラス席を設け、折戸を採用した開放的な空間を作り出している。2階へは外部階段から直接アクセス可能であり、バルコニーを立ち飲みスペースとして活用することで、立体的な賑わいを演出している。また、ロビーにはデジタルサイネージを設置し、各店舗の情報を視覚的に案内する機能を備える。
このプロジェクトは、地域の文化を尊重しつつ、新しい都市風景に対応した建築を実現することを試みた。
- 敷地:愛知県名古屋市
- 用途:飲食テナントビル
- 敷地面積:294.64㎡